2013年02月01日

Paul Desmond Desmond Blue この一枚 vol.10

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 今日は「この一枚」、エンジニア小宮山が、かくれた名盤をご紹介しつつ、そのアルバムについて独自の視点で書いてゆきます。

 ポール・デズモンドといえば、先日亡くなったデイヴ・ブルーベックのバンドで活躍し、名曲「テイク・ファイヴ」の作者として知られている人物です。その後の活動は70年代のCTIレーベルでの諸作が有名ですが、60年代にも良い仕事を残しています。

 このアルバムは簡単に書いてしまうと、いわゆる with Strings的なアルバムで、管弦楽+ジャズバンドの形態で、スタンダードナンバーを演奏していますが、実に粋なアレンジと選曲でムーディーに聴かせてくれます。

Paul Desmond Desmond Blue  Bluebird RCA

1. My Funny Valentine 3:55
2. Desmond Blue 3:43
3. Then I'll Be Tired Of You 4:07
4. I've Got You Under My Skin 4:43
5. Late Lament 4:11
6. I Should Care 3:51
7. Like Someone In Love 4:13
8. Ill Wind 3:50
9. Body And Soul 4:53      Recorded at Webster Hall, New York, New York between June 19, 1961 & March 15, 1962.
                 Engineer Ray Hall

 CDアルバムのブックレットには、ギターのジム・ホール以外、アレンジャーやメンバーの記載が無く、長年不明だったのですが、今回これを書くにあったって、色々調べてみましたところ、面白いことがわかりました。

 まずプロデューサーはGeorge Avakian、コロンビアからワーナー、RCAへと渡り歩いた、ジャズの名プロデューサーです。オーケストラの編曲と、スタジオでの指揮をしているのが、Bob Princeという人で、私は今まで知らなかった人ですが、なぜかこの人はバレーや演劇の音楽を多く書いているのですが、ジャズの仕事以外では「Robert Prince」という名前で仕事をしています。
 
 このアルバムでは勿論ポール・デズモンドが主役なわけですが、アレンジャーのボブ・プリンスという人の素晴らしい仕事が、とても大きな割り合いを占めています。その他に、興味深いのはべースが曲により、全くタイプの違うGene ChericoとMilt Hinton の二人を使い分けていることです。ドラムも三人が担当していて、Connie Kay, Bobby Thomas, Osie Johnson が叩いています。

 それと、ここでもう一つ注目したいのは、レコーディングエンジニアーの「Ray Hall」です。有名なブルーノートのルディー・ヴァンゲルダーほどの知名度はありませんが、とても良い仕事をしています。
 
 個人的には同業者としては、ピアノの音質ではヴァンゲルダーより、この人の音の方が好きです。Bill EvansのVerve盤、(fl)のジェレミー・スタイグが入った「What s New」なんかもこの人の仕事です。楽器の音をとてもナチュラルにとらえたクリアーな録音は、私にとって、とても音楽的な気がします。
 
 このアルバムにはピアノは入っていませんが、素晴らしいバランスで、録音されており、レイ・ホール氏の音楽的な貢献度は、とても高いといえるでしょう。オーケストラ全体のバランス、エレキギターとの混じり方、べースとドラムがくっきり聞こえているため、リズミックなシーンでも編成が大きいにも関わらず、ビートが死なず、とても魅力的な空間を造り出しています。イージーリスニングとしても、真剣に聴くジャズアルバムとしても、とても質が高いアルバムです。

Paul Desmond (alto saxophone); Bob Prince (arranger, conductor);

George Marge, Robert Doly, Paul Winter, Stan Webb, Phil Bodner, Romeo Penque (winds);
Albert Richman, Tony Miranda (French horn);
Charles Libove, Arnold Eidus, Anahid Ajemian, Harry Glickman (violin); Harry Zaratzian, Alfred Brown (viola); Alan Shulman, Harvey Shapiro (cello);
Gene Bianco, Gloria Agostni (harp); Jim Hall (guitar); Gene Cherico, Milt Hinton (bass); Connie Kay, Bobby Thomas, Osie Johnson (drums). Producer: George Avakian.

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2013年01月28日

Michel Petrucciani & Lee konitz -Toot Sweet vol.9

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 今日の「この一枚」はリー・コニッツとミシェル・ペトルチアーニのデュエット「Toot Sweet」をご紹介致します。
 
 12月28日にシェル・ペトルチアーニの初リーダーアルバムについて、書いたときも、少しこのアルバムについて触れましたが、今は亡きペトルチアーニ20才の時の演奏ですが、当時既に中堅からベテランの域に達していたコニッツ氏と対等に渡り合うプレイが、早熟ぶりを感じさせます。
 
リー・コニッツという人は、あまりにも多くのピアニストとデュオを録音していますが、デュオが好きなんでしょうか?ピアノばかりではなく、べースのチャーリー・ヘイデンなんかともデュオを録音しています。多分デュオアルバムだけで、30枚以上あるのではないでしょうか、、、。
 そういう意味では1960年代から頻繁にデュエットというフォーマットで作品を残している、デュオのイノベーターと言えるかもしれません。
 
 コニッツ氏はアメリカ人ですが、ヨーロッパでの人気の方がある様な気がします。デュオアルバムもほとんどヨーロッパのミュージシャンと録音しています。それとこの人はなぜかサックスソロのアルバムも何枚か出しているんですよね。
 
 このアルバムも彼がヨーロッパ(パリ)に行って、おそらくはまだ世界的には有名になっていなかった、ペトルチアーニと録音したものです。
 行き当たりばったりな、いかにもセッション的な演奏ながら、密度の高いインタープレーを聞く事ができる名盤です。もとの音源がLPなので、50分弱の長さで、演奏が良いだけに、もう少し聞きたいのですが、こればかりはしかたありません(T_T) 。

6090393.jpg 1985年パリ録音
1. I Hear A Rhapsody 4:44
2. To Erlinda 5:03
3. Round About Midnight 16:00
4. Lover Man 15:35
5. Ode 4:47
6. Lovelee 2:12


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2013年01月26日

Mituko Utida  Debussy Douze Etudes pour piano この一枚 Vol.8

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 みなさんこんにちは、本日は今年6枚目の「この一枚」を題材としてお送り致します。
今日ご紹介するのは、日本人(英国籍)のピアニスト内田光子さんの演奏する、1989年録音の、ドビュッシーの12の練習曲です。
 内田光子さんというと、モーツアルトの演奏で有名な方ですが、実は、近代や、現代の曲を演奏するのも得意にしていらっしゃいます。
 
 1月11日に書いたグレン・グールドの話に出てきた、シェーンベルクのピアノ協奏曲を、ピエール・ブーレーズ指揮、クリーブランド交響楽団という、ある意味、現代最高の伴奏者とともに録音もしています。
 演奏者としては珍しく、そのアルバムや、今日取り上げたドビュッシーのアルバムでも、彼女自身が非常に細かい、楽理的な解説を書かれています。
 
 演奏家という者は、当然のことながら、演奏する作品をとことん研究するものなのでしょうが、それが音楽理論的な角度からとなると、必ずしも誰もがそこまでつっこんで研究するわけではないようです。何しろ技術的な訓練、修練に膨大な時間をとられますし、今日取り上げたドビュッシーの練習曲となると、かなり構造も複雑で、演奏家よりむしろ作曲家の研究題材になる様な曲です。
 
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 実は今回、ユーチューブで内田さんが、ドビュッシーの12の練習曲についてピアノを弾きながら解説している映像を見ましたが、実に詳細に興味深い話をされていました。お会いしたことがないので、どんな性格の方かは知りませんが、写真などで見る、どこか影のある、内向的な感じではなく、自由かっ達にピアノの前に座りながら、活き活きと話をされていました。

 彼女のこのドビュッシーの12の練習曲の演奏は、随分前に偶然手に入れたのですが、本当に聴いてびっくりしました。とにかく音色、技術、音楽性、どれをとっても最高です!。この曲をコンサートやレコーディングで全曲(50分弱)演奏しているピアニストはそれほど多くはありませんが、私が知るポリーニ(全曲)、クライバーン(一部)、ミシェル・ベロフ(全曲)ワイセンベルク(一部)、リヒテル(一部)などとくらべてもダントツの説得力です。
 
 女流ピアニストというとアルゲリッチなどが有名ですが、勝手なことを言って、ファンの方に怒られるかもしれませんが、もし彼女が演奏したとしても、このように豊かで、知的な演奏は出来ないでしょうね (^_^;) 。

 本当にダイナミックで魔女の様な演奏でありながら、あらゆる物を見透すかの様な、はっきりとした中にも、ミステリアスさであるとか、内田さん独特のビロードの様な音色が漂う、曲を深く理解していなければ決して出来ない、何とも言えない、雰囲気をたたえた美しい演奏です。

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2013年01月21日

Charlie Haden「 Closeness」 この一枚 Vol.7

うみ.jpg ここのところ食べ物ネタではしゃいでおりましたが、今日は真面目モードで、今年5枚目の「この一枚」のコーナー。
 
 食べ物の話というのは、写真と言葉で構成していて、見ている人はけっして味わえる訳ではないんですよね、、。「この一枚」もウチのレーベルのアルバムならファイルを添付して聴いて頂けるのですが、やはり著作権のモラルは守りたいと思いますので、そのへんはご了承下さい。まあこのブログでご紹介している作品は、どれも購入して、損の無いものだと思いますが、、。
 
 あまりにも沢山の商品がこの世の中にあふれていますが、人生の中で限られた時間と、お金をどう使ってゆくか。
特に忙しい方はCD一枚を聴く時間も、苦労して捻出されていらっしゃる方もいらっしゃると思いますし、限られたおこずかいをどのように使うか、という事が、豊かな毎日をおくる、おおきな鍵になっていると思います。

 今日ご紹介するのはベーシスト、チャーリー・ヘイデンのアルバム、「クロースネス」です。

 1976年に発表されていますので、ヘイデン氏が40歳になるかならないか、位の頃の作品です。
このアルバムは4人の演奏家達、それぞれとの、デュエットが収録されています。 
 
 ジャズ系のアルバムで、デュオとかソロとかの編成で制作することは、それまであまりありませんでしたが、1970年代からこのような小編成のプロジェクトがふえてきました。
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 しかし今見てもこのメンバーは異様、というか、すごい布陣ですよね、、、。一曲目がキース・ジャレット(p)、二曲目がオーネット・コールマン(as)、三曲目が、アリス・コルトレーン(Harp)、四曲目が先日亡くなった、ポール・モチアン(per)、という面々とデュエットで、演奏しています。
 
 私はこのアルバムを新譜で出た当時、十代で聴いていたわけですが、それも、いま考えると、異様な感じがします( ^_^;) 。

全編にわたって自由な感じの演奏がくり広げられていますが、4曲目は、歓声、銃声などの効果音と共に、べースも多重録音されており、政治的メッセージも込められている様です。

 音質も優秀で、各楽器の音がピュアーに録られています。アナログ盤とCDを聞き比べたことがありますが、CDマスタリング時に、ルディー・バンゲルダーによって、何曲か、ほんの 少しだけリヴァーブがかけられているようです。

 ジャケットは現在新品で流通しているものは、別の写真ですが、今回はこちらの方が素敵なので、最初のアナログ盤と一部再発のCDで使われている方を掲載させて頂きました。 

 ちなみに一曲目の「Ellen David」はCMS-1004「Blue and Green」で細川正彦も演奏しています。  

CMS Records web site http://cms-records.biz

収録曲 「Ellen David」「O.C.」「For Turiya」「For a Free Portugal」
 
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2013年01月15日

Pablo Casals Rudolf Serkin   Beethoven Cello Sonatas  この一枚 Vol.6

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 みなさんこんにちは、久しぶりの音楽ネタ、(^_^;)、今日は「この一枚」のVol.7として、パブロ・カザルス(cel)と、ルドルフ・ゼルキン(p)を取り上げたいと思います。
 先日取り上げたグレン・グールドと言えば、「バッハ」、そしてパブロ・カザルスなら、やはり「バッハ」、、というとこでしょうが、その題材については、もう語り尽くされているでしょうし、わたしもちょっと違った切り口、ちょっと違った題材で、書きたいので、今日は、ベートーベンのチェロソナタのCDについて書きます。

 このアルバムは何枚かのLPが、二枚組のCDにまとめられたもので、1952〜54の間に録音されています。1950年代と言えば、カザルスは 70歳代なかば頃で、音楽家として成熟してくる年代です。この頃ルドルフ・ゼルキンは50代ですが、ゼルキンといえば、「ソリスト」、「巨匠」というイメージがありますが、この頃は、アドルフ・ブッシュ(vln)や、カザルスといった人達の伴奏もやっていたんですね。
  
 まあベートーベンのバイオリンやチェロのソナタいえば、ピアノパートの重要性が高く、それなりの腕(技術と音楽性)を要求されますので、ゼルキン氏の様な人は、適任と言えるとは思います、、。
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 私が最初に聴いたゼルキンの演奏は、晩年の80代で、「枯れた」というか、非常に端正な音楽をつくる人、という印象でしたが、このカザルスとの演奏は、カザルスの、いつもながらのパワー(最近の演奏家と比べると少し乱暴に感じるところもある ^^;)と対等に渡り合う、とても刺激的なものです。
 
 それにしてもこの曲、チェリストなら結構とりあげている曲ではありますが、今回この文章を書く為に、改めてこの2枚のCDを聴いてみましたが、ソナタの1〜5番と「魔笛」の主題による7つの変奏曲変ホ長調作品46と「魔笛」の主題による12の変奏曲ヘ長調 作品66まで、全て聴くと、ベートーベンが、チェロという楽器への強い興味があった事を感じます。

 自身はピアノの演奏者であったそうですが、膨大な数の弦楽四重奏曲を書いているとはいえ、チェロの曲をこれだけ初期から晩年に渡って、たくさん書いている事を改めて確認すると、いろいろな興味がわいてきます。

 録音は 1950年代前半ですから、今では考えられない、一本のマイクと、一台のテープレコーダだけで録音した、アナログのモノラル録音ですが、マイクのセッティングの良さ、部屋の質の良さ、ピアノの調律や、調整の良さ、など、いろいろな条件がそろった当時としては、かなり高いレベルの音質だと思います。  CMSレコード HP http://cms-records.biz

51V981Jj6vL._SL500_AA300_.jpg 収録曲 
1. チェロ・ソナタ第1番ヘ長調op.5-1
2. 同第2番ト短調op.5-2
3. 同第4番ハ長調op.102-1
4. 同第3番イ長調op.69
5. 同第5番ニ長調op.102-2
6. 「魔笛」の主題による7つの変奏曲変ホ長調Op.46
7. 「魔笛」の主題による12の変奏曲ヘ長調 Op.66
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2013年01月05日

Charles Lloyd この一枚 vol.5

_MG_0920.jpg お正月も5日目に入って、いかがおすごしでしょうか。
 今日取り上げるのは 2000年にリリースされた、チャールス・ロイド(ts)のアルバム「The Water Is Wide」です。

 このアルバムで一番私が注目しているのは録音されているピアノの音質です。参加しているBrad Mehldau は世界的に人気の高い人で、沢山のアルバムが出ていますが、それらで聞ける彼のピアノと、このアルバムのピアノの音は随分ちがいます。先日の「エンジニアの独り言、ピアノについて1〜3」で書いたピアノを良い音で録音するためにしなければならないことを、しっかりやった結果がこれではないかと思います。
 
 Brad Mehldau のここでの演奏はGeorgia on My Mindなどの有名曲を演奏しているせいもあるのでしょうか、いつもより、音楽的に柔らかいというか、素直というか、彼の身体から音楽が、自然に出て来ている感じがします。
Charles Lloydはいままでにも素晴らしいピアニスト(Keith Jarrett、Michel Petrucciani、Geri Allen)達と共演していますが、Brad Mehldau とのコンビもそれなりに面白い演奏になっています。
 
 個人的にBrad Mehldau はフェバリットのピアニストではないのですが、このアルバムと、たぶん同じ時に録音した「Hyperion with Higgins ECM 1784」でのプレーは許せる感じがするんです (^_^;) 。
 ピアノの音質のせいなのか、プレー自体の質が違うのか、、、。演奏の細かいところを聞いてゆくと、ドラムとべースのコンビネーションは決してあまり良い訳ではないのですが、このアルバムが私にとって魅力的なのは、やはりBrad Mehldauのプレーの素晴らしさであり、メンバーを選択しているCharles Lloyd、そしてより良い制作環境を構築した、プロデューサーのおかげだと思います。

ECM 1734
Charles Lloyd - tenor saxophone
Brad Mehldau - piano
John Abercrombie - guitar
Larry Grenadier - double bass
Darek Oles - double bass (#12 only)
Billy Higgins - drums

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2013年01月04日

Cal Tjader と Lalo Schifrin この一枚 vol.4

 空4.jpg今年2回目の、この一枚は、ヴィブラフォン奏者、カル・ジェイダーの二枚のアルバム、「Several Shades of Jade (Verve, 1963)」と「Breeze from the East (Verve, 1963)」を取り上げたいと思います。
 
 偶然に手に入れたこのアルバムは、2枚のLPアルバムを一枚のCDにまとめたもので、アレンジはラロ・シフリンが行っています。
なぜこのアルバムを取り上げようと考えたかと申しますと、1963年という時代にもかかわらず、後のフュージョンを暗示する様なとてもモダンなアレンジ、オーケステレーションがされているとともに、カル・ジェイダーのプレーが実にすばらしいからです。

 ラロ・シフリンと言えば、のちに映画「ダーティーハリー」などの音楽で有名になる人ですが、様々な経歴をもっていて、アルゼンチンのブエノスアイレスで、生まれていますが、大学で社会学と法律を学んだあと、奨学金を得て、パリ音楽院でメシアンに師事したり、アストル・ピアソラのグループでピアノを弾いたりと、じつに色々な事をやった後、アメリカに落ち着いて映像音楽を中心に活動していた人です。
 一方、、カル・ジェイダーの方はセントルイス生まれ、スウェーデン系アメリカ人でサンフランシスコでデイブ・ブルーベック、ポール・デズモンドらと会いジョージ・シアリングら様々なミュージシャンと活動した人です。一般に日本ではラテンジャズのプレーヤーと位置づけられている演奏家ですが、ここでは素晴らしいジャズプレーヤーぶりを発揮しています。

 ものすごく乱暴に、簡単に書いてしまえば、カンフー映画のサントラの様な音楽ですが、なかなか良く出来た音楽です。
ブルースリーの「燃えよドラゴン」の音楽もラロ・シフリンでしたから、知らないうちに頭に刷り込まれているのかもしれませんが、あれは70年代に入ってからですから、本当に時代に先んじて音楽をつくっていたのだと思います。音質も大変クリアーで、当時としてはトップクラスのクオリティーでしょう。アナログ録音のテクニックが、この頃、既に完成の域に近づいていたことがよくわかります。
 
 調べてみるとシフリンさんは現在も存命で、日本ではあまり話題になっていませんが、高齢ながら2000年代に入っても素晴らしい作品をつくりつづけています。そのうちの一枚を聞いてみましたが、とても刺激的なものでした。
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2013年01月02日

Gerald Clayton この一枚 vol.3

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 今年最初の「この一枚」はジェラルド・クレイトン(P)のアルバム。「Bond The Paris Sessions」をご紹介しましょう。

 ジェラルド・クレイトンは1984年オランダのユトレヒト生まれの28歳。モンティーアレキサンダーなどとの活動で知られる、ベーシスト、ジョン・クレイトンの息子さんだそうです。
 ダイアナ・クラール(Vo)や、ロイ・ハーグローブ(tp)とも活動しているそうで、アメリカだけでなく、ヨーロッパでも活動している様です。

 冒頭の「If I were Bell」をはじめ、オリジナル曲、スタンダード取り混ぜた選曲ですが、どの曲も独特の現代的なアレンジがしてあって、とても新鮮なアプローチをしています。いわゆる4ビートの曲はほとんど無く、変拍子なども使って、ピアノ、べース、ドラムともバランス良く入り乱れて、スリリングなインタープレーを繰り広げています。
 いろいろ趣向を凝らして演奏しているわりには、聞きようによっては、どの曲も同じ様に聞こえるという欠点が、無い訳ではありませんが、演奏は大変レベルの高いものと言えるでしょう。

 この人のピアノはとてもクリアーなタッチで、アドリブのスタイルは年齢に似合わず、過去のジャズのピアノスタイルをよく研究して消化したあとが見られます。
 共演の人達も大変素晴らしいプレーをしています。わたしは初めて名前を見た人達ですが、世界にはまだ知らない。本当にうまいプレーヤーがいるものだと思いました。

 このアルバムは2010年に発表されたもので、その年のグラミー賞にもノミネートされたらしいです。
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Gerald Clayton(P) Joe Sanders(b)Justin Brown (ds)


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2012年12月28日

ミッシェル・ペトルチアーニ この一枚 vol.2

写真は CMS-1006 「Songs and Etudes」のブックレットから。http://cms-records.biz/albums/albums_top.html
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 今日の「この一枚」はフランス生まれのジャズピアニスト、ミッシェル・ペトルチアーニのアルバム「Michel Petrucciani」を取り上げたいと思います。
 彼は生まれつき障害を持っていながら、短い36年という人生の中で、身長90pあまり、という小さな身体にもかかわらず、世界の沢山のファンを虜にした、素晴らしい音楽家でした。
 
 今年の秋、「情熱のピアニズム」というドキュメンタリー映画が公開され、話題になったので、ご覧になった方もいらっしゃるでしょう。

 このアルバムは彼が、19歳の時に吹き込んだ作品ですが、当時のヨーロッパでのスタープレーヤーだった、べースとドラムを従えて、堂々と発表したものです。
 この作品をきいて、恐らくは誰も、彼の骨形成不全症という障害や19歳という年齢を言い当てられる人は居ないでしょう。

 それほどに、ここでの演奏は素晴らしいです。フランスのマイナーレーベルからリリースされているので、知名度が今一つな作品ですが、私の感じるところ、彼のベストと言っても差し支えない程の出来映えです。
 
 有名なスタンダード曲、「酒とバラの日々」の退廃的で、まさにフランスらしい、デカダンスな雰囲気。オリジナルのジャズワルツ「クリスマス・ドリーム」の親しみあるエスプリに満ちたメロディー。速度の限界に挑戦しているかの様な、スタンダード曲「チェロキー」における超速弾きなど、聴き所は満載の名盤です。

 現在存命なのはドラムのアルド・ロマーノだけですが、過去の名盤として、うもれてしまうにはもったいない作品です。

ペトリチアーニはこの作品を録音した次の年にはリー・コニッツ(as)との素晴らしいDuoも録音しています。

 天才ピアニストの実像に迫りつつ、粋なヨーロッパのピアノジャズに触れるのに、格好のアルバムです。

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2012年12月21日

Kenny Kirkland この一枚 vol.1

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エンジニア小宮山が、とっておきのアルバムをご紹介する「この一枚」というコーナーが、何のまえぶれも無く、 ^^; 今日、始まりました、、(^_^;) 。CMSレコード HP http://cms-records.biz/

 記念すべき第一枚目は、「Miroslav Vitous First Meeting(ECM 1145 )」です。ピックアップするアーティストはアルバムのリーダー、ロスラフ・ビトウスではなく、ピアノを弾いている、ケニー・カークランドです。
 彼は一般的には1985年のスティングの「ブルータートルの夢」のレコーディングとツアーメンバーとして、ブランフォード・マルサリスらと共に、知られていますが、それ以前にも様々なアルバムに参加しています。
 
残念なことに、1998年に43年の短い生涯の幕を閉じていますので、その実力の割には録音の数はあまりにも少なく、それらの記録はとても貴重なものと言えるでしょう。
 
 有名なところでは、1983年録音のウイントン・マルサリス 「Think of One」で若干22歳のリーダー、マルサリスの手兵として、脇をかためていますが、他にはブランフォード・マルサリスとの諸作、70年代後半から、80年代初頭にかけては、意外にも日本人ミュージシャンとも活動しており、トニー・ウイリアムスやミロスラフ・ビトウスとともに、山口真文(ts)さんのリーダー作「MABUMI」や、日野皓正さんのアルバムや渡辺香津美さんの「To Chi Ka」にも参加しています。
 
 このECM盤ではケニー本来のクリアーなタッチが、優秀な録音によって、見事にとらえられています。他に同じメンバーによる「Miroslav Vitous Group」というアルバムもあります。

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Miroslav Vitous bass
John Surman soprano saxophone, bass clarinet
Kenny Kirkland piano
Jon Christensen drums     

Recorded May 1979   ECM 1145
posted by えんこみ at 02:49| Comment(0) | TrackBack(0) | この一枚