CMSレコードエンジニア、小宮山です。
昨年の12月12日に始まったこのブログですが、アルバム紹介のコーナー、12月18日に池田篤、細川正彦Duo CMS-1001「Interlude」、1月10日にCMS-1003「Trio」をご紹介し、2月8日にはCMS-1004「Blue and Green」を取り上げました。3月はべースデュオシリーズについて2回にわったってとりあげましたが、何故か4 月はお休みしていました(たぶん忘れてた)。 今日は菅原高志CMS−1005「Departure」をご紹介したいと思います。
今回も試聴用ファイルを添付しておりますので、お聴きになりながら、お読み下さい(ネットやパソコンの状態によって、音が出るまで時間がかかったり、音がとぎれたりすることがありますが、mp3のサンプルですので、ご了承下さい)。音量の調節なども画面上でできますので、お試し下さい。
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このアルバムは、九州出身の若手ドラマー、菅原高志の発リーダー作です。メンバーはサックスが、川嶋哲郎、ギターがランディー・ジョンストン、べースが小牧良平、ドラムがリーダーの菅原高志という日米及び九州東京混合のメンバーによるアルバムです。
ジャズは元々はもちろんアメリカの音楽で、アメリカ人の演奏家は、世界中で活躍していますが、日本人と共演、それもレコーディングとなると、いろいろな点で、難しい事がたくさんあります。共演者間の言葉のコミニュケーションやレパートリー、レコーディングの段取りなど、日本人だけの現場では気にしない、いろいろな点について考えなければなりません。
このアルバムの場合、その辺がうまくいったのか、内容的に非常にバランスの良い作品に仕上がっています。私の知るかぎり、ほとんどの日米混合のレコーディングプロジェクトは、音楽的には「ちぐはぐ」な結果になることが多いのですが、ここではまあまあうまく行っている様です。
レコーディングの現場にエンジニアとして立ち会っていた、私としては、たった一日、それも7時間足らずの間にアルバム一枚分を録音しなければならないという、強攻スケジュールだったので、かなり気を使いました。しかも、このレコーディングメンバーは、前日のライヴではじめて顔を合わせており、しかもメンバー各々のオリジナル曲を持ち寄ってのセッションは、刺激的であると同時に、かなりの緊張を強いられました。
実を言うと、その前日のライヴに私は顔をだし、キターのR・ジョンストンと、音の録り方について、いろいろディスカッションしたのですが、彼は私がやろうとしている録音の仕方には及び腰で、「そのやり方では私は録音したくない、、」という事を言い出したので、いろいろ説得を試み、一応「そこまでお前が言うのなら、そのやり方をためして(やって)もイイが、、、」というところまでは、到達することができました。録音当日はメンバーがスタジオにつくなり、ギターのランディーが、試しに録音して、サウンドをチェックさせろといってきたので、マイクセッティングもほどほどにギター・トリオの曲から作業が開始されました。
一曲演奏を録って、それをヘッドフォンで神妙な顔をしてモニターしていたランディーが、しばしの沈黙のあと、外人独特のオーバーなアクションで、「Good Sound ! ! 」といった時には、正直ホッとしました ヨ (^_^;) 。そのあとは、しまいには、「ギターアンプのセッティングも、おまえの好きにしていいぞ!」なんて言い出して、なんだかかえって困ったという記憶があります。
そのようにして出来上がったこの作品「Departure」は、CMSレコードのアルバムとしては、主宰細川正彦が、演奏では参加せず、プロデュースに専念した作品ですが、当レーベルのカラーがしっかり出た、素晴らしい作品として仕上がりました。
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