2013年05月13日

Departure ♫

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 CMSレコードエンジニア、小宮山です。
 昨年の12月12日に始まったこのブログですが、アルバム紹介のコーナー、12月18日に池田篤、細川正彦Duo CMS-1001「Interlude」、1月10日にCMS-1003「Trio」をご紹介し、2月8日にはCMS-1004「Blue and Green」を取り上げました。3月はべースデュオシリーズについて2回にわったってとりあげましたが、何故か4 月はお休みしていました(たぶん忘れてた)。 今日は菅原高志CMS−1005「Departure」をご紹介したいと思います。

 今回も試聴用ファイルを添付しておりますので、お聴きになりながら、お読み下さい(ネットやパソコンの状態によって、音が出るまで時間がかかったり、音がとぎれたりすることがありますが、mp3のサンプルですので、ご了承下さい)。音量の調節なども画面上でできますので、お試し下さい。

 このアルバムは、九州出身の若手ドラマー、菅原高志の発リーダー作です。メンバーはサックスが、川嶋哲郎、ギターがランディー・ジョンストン、べースが小牧良平、ドラムがリーダーの菅原高志という日米及び九州東京混合のメンバーによるアルバムです。

 ジャズは元々はもちろんアメリカの音楽で、アメリカ人の演奏家は、世界中で活躍していますが、日本人と共演、それもレコーディングとなると、いろいろな点で、難しい事がたくさんあります。共演者間の言葉のコミニュケーションやレパートリー、レコーディングの段取りなど、日本人だけの現場では気にしない、いろいろな点について考えなければなりません。

 このアルバムの場合、その辺がうまくいったのか、内容的に非常にバランスの良い作品に仕上がっています。私の知るかぎり、ほとんどの日米混合のレコーディングプロジェクトは、音楽的には「ちぐはぐ」な結果になることが多いのですが、ここではまあまあうまく行っている様です。

 レコーディングの現場にエンジニアとして立ち会っていた、私としては、たった一日、それも7時間足らずの間にアルバム一枚分を録音しなければならないという、強攻スケジュールだったので、かなり気を使いました。しかも、このレコーディングメンバーは、前日のライヴではじめて顔を合わせており、しかもメンバー各々のオリジナル曲を持ち寄ってのセッションは、刺激的であると同時に、かなりの緊張を強いられました。
 実を言うと、その前日のライヴに私は顔をだし、キターのR・ジョンストンと、音の録り方について、いろいろディスカッションしたのですが、彼は私がやろうとしている録音の仕方には及び腰で、「そのやり方では私は録音したくない、、」という事を言い出したので、いろいろ説得を試み、一応「そこまでお前が言うのなら、そのやり方をためして(やって)もイイが、、、」というところまでは、到達することができました。録音当日はメンバーがスタジオにつくなり、ギターのランディーが、試しに録音して、サウンドをチェックさせろといってきたので、マイクセッティングもほどほどにギター・トリオの曲から作業が開始されました。

 一曲演奏を録って、それをヘッドフォンで神妙な顔をしてモニターしていたランディーが、しばしの沈黙のあと、外人独特のオーバーなアクションで、「Good Sound ! ! 」といった時には、正直ホッとしました ヨ (^_^;) 。そのあとは、しまいには、「ギターアンプのセッティングも、おまえの好きにしていいぞ!」なんて言い出して、なんだかかえって困ったという記憶があります。

 そのようにして出来上がったこの作品「Departure」は、CMSレコードのアルバムとしては、主宰細川正彦が、演奏では参加せず、プロデュースに専念した作品ですが、当レーベルのカラーがしっかり出た、素晴らしい作品として仕上がりました。

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2013年03月13日

べースデュオシリーズ、その後 2

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 みなさん、こんにちは、CMSレコードエンジニア兼、宣伝係長の小宮山です。

 前回3月4日のこのブログで書きました、昨年12月発売の納浩一、細川正彦デュエット「Little Song Book 緑彩色」につづく「べースデュオシリーズ」について書きたいと思います。前回は、ベーシスト船戸博史氏とレーベル主宰、ピアニストの細川正彦のデュエットのアルバムの、テストミキシングの音を聞いて頂きました。
 今回は関西を中心に演奏のみならず、プロデューサーとしても全国で活動するベーシスト、中島教秀と細川正彦のDuoをきいて頂きましょう。曲は中島氏のオリジナル曲「Half Country」です。スマート・フォン、PCでブログをご覧になっている方はお聴きになりながら、お読み下さい。

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 この音源は昨年の12月に録音したもので、まだ仮のミキシングの状態ですが、アップしてみました。
 
 ピアノとべースのデュエットばかり3枚分も録音してしまいましたが、それぞれに特徴とベーシストによって、個性があり、聴きごたえがある仕上がりになりそうです。

 船戸氏との録音の方は、少しフリージャズ的な激しいアプローチもありましたが、こちらの方は、オーソドックスなジャズと、少し環境音楽的な楽曲もあり、多重録音などの手法も使いながら、いろいろなタイプの音楽を演奏しています。
 まだどちらが先にリリースされるか、わかりませんが、ご期待下さい m(_ _)m 。
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2013年03月04日

べースデュオシリーズ、その後

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 みなさん、こんにちは、CMSレコードエンジニア兼、宣伝係長の小宮山です。今日は珍しくCMSレコードの発表予定の新作の話題です。

 好評のうちに発売しております、納浩一、細川正彦デュエット「Little Song Book 緑彩色」ですが、手に入れられた方は、CDの帯に、「べースデュオシリーズ第一弾」という文字が印刷されているのをお気付きの方もいらっしゃると思います。

 「べースデュオシリーズ」として、これから発売予定(時期未定)の只今ミキシング作業中の音源を短縮して、本邦初公開 (^o^)/、、アップロード致しましたので、スマート・フォン、PCでブログをご覧になっている方はお聴きになりながら、お読み下さい。

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 いま私が作業している「べースデュオシリーズ」の音源は、録音順に挙げますと、京都在住で、関西をはじめ、全国で活動中のベーシスト、船戸博史とピアノの細川正彦のデュオ音源と、大阪在住で、全国で演奏活動を行っているべースの中島教秀と細川正彦のデュオの二つのアルバムです。

 そのうち、今日アップロードしたのは、船戸博史、細川デュオから、細川オリジナルの曲、「かなしいきもち」です。船戸氏は一応ジャズ畑出身のプレーヤーですが、とても幅広い音楽性をもっていて、ジャズで通常する、指で直接はじくピチカート以外にも、弓弾きも良くする、多彩な音楽性をもった素晴らしい演奏家です。
 
 今回のアルバムは全曲二人のオリジナルで、時にフリーフォームスタイルによる演奏もあるちょっと過激な、意欲的な作品になりそうです。
 エンジニアの立場から言わせて頂ければ、今回のアルバムは、前回の「Little Song Book 」を上回るビビッドな音質で楽しんで頂ける出来上がりになりそうです(^^) 。
 
 まだ、タイトル、曲順、デザインなどを決める前の段階ですが、是非さわりだけでも皆さんに聴いて頂きたく、mp.3ファイルをアップしました。
 いかがですか?mp3ファイルなので、音質が少し悪くなっていますが、それでも、熱演の様子がクリヤーな音とともに、感じて頂けると思います。 つぎはもう一つのプロジェクト、中島教秀デュオの音源もお聞かせしたいと思います。
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2013年02月08日

ブルー・アンド・グリーン ♫

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 CMSレコードエンジニア、小宮山です。
 昨年の12月12日に始まったこのブログですが、12月18日に池田篤、細川正彦Duo CMS-1001「Interlude」、1月10日にCMS-1003「Trio」をご紹介致しましたが、今日はCMS-1004、「Blue and Green」を取り上げたいと思います。

 今回も試聴用ファイルを添付しておりますので、お聴きになりながら、お読み下さい(ネットやパソコンの状態によって、音がとぎれたりすることがありますが、mp3のサンプルですので、ご了承下さい)。

 「Blue and Green」はCMSレーベルの第3作目、そしてピアノとベース、ドラムによるピアノトリオの編成では二作目になる作品です。前回のアルバム CMS-1003「Trio」と同じメンバーによる録音で、ほぼ一年後の2006年の春に録音しました。

 前作がどちらかと言うと、スタンダードジャズ的な内容だったのに対して、この作品はオリジナル色というか、プロデューサー、ピアニスト細川正彦が考えるジャズ・アルバムの姿を、より具体的に示した内容と言えるでしょう。
 エンジニアとして音質面から見れば、前回のアルバムの教訓を生かして、プロデューサーの要求に応えるべく、様々な工夫をして作業に臨みました。
 
 演奏の内容としては、若いベーシスト(当時26才)の小牧良平氏が、わずか一年の間に格段の成長を遂げ、とても大きな貢献をしていることが、アルバムの成功に大きく関係しています。ソロにバッキングに、一作目にはなかった、積極さと、刺激あるプレイは、確実にバンドに良い緊張感をみなぎらせる結果となりました。
 スタンダード4曲と、短いインターリュードを含むオリジナル8曲の計12曲は、バランス良く配置されており、全体が75分を越える長さながら、聞くものを、全く飽きさせる事の無い構成になっています。
 ビル・エバンスの「Blue And Green」では17分近い長さの長尺演奏ですが、とてもドラマティックな演奏で、アルバムのハイライトと言ってよいでしょう。
 
 音楽的な内容の充実さも、さることながら、サウンドもきわめてクリアーで、各楽器の音が活き活きと記録されていて、明快な定位と、繊細でダイナミックな音色は、繰り返し聴いても色あせない、充実したアルバムになっています。
 
 オーディオショップなどでも、試聴用のソフトとして使われていることも多く、ハイファイマニアや、マニアックなピュアオーディオのファンからも高い評価を受けています。

 CMSレコードの6枚のアルバムの中でも、代表的な作品と言って良い内容で、是非お聴き頂きたいアルバムです。

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posted by えんこみ at 00:56| Comment(0) | TrackBack(0) | アルバム紹介

2013年01月10日

トリオ ♫

夕焼け3.jpg エンジニア小宮山です。
食べ物ネタばかりではなく、たまにはチャンとお仕事の話題を、と言う事で、アルバム紹介をさせてください。
 昨年の12月18日に池田篤、細川正彦Duo CMS-1001「Interlude」を紹介しましたが、今回はCMSレコード第2作目「Trio」です。
mp3で若干音質は落ちますが、前回と同じ様に、試聴出来る様にしてありますので、できれば、聞きながら読んでいただけると、幸いです (^^) 。


 このアルバムは 、 CMS-1001「Interlude」につづく CMSレコードの2作目で、初めてのピアノトリオ(piano,bass,drums)作品です。
 2005年に録音して、 2006年にリリースしたのですが、私、エンジニア小宮山としては、いろいろ苦労したアルバムでした。
 ミキシングにかけた時間は半年以上で、一時は思う様な音にならないので、「ボツ」にすることも考えた程、音質に関して悩んでいました。
 
 演奏に関しては、このバンドは、ほとんどライヴをやっていなかったこと、ベーシストがまだ若く、レコーディングで実力を十分に発揮できなかったこと、など、いろいろありましたが、発表できないほどの、悪い出来ではありませんでした。


 前作の「Interlude」が、ツアーのあと、軽い気持ちの、思い出作りで録音したのに対して、今度はアルバムを作るぞ、、という意気込みを持って臨んだのですが、録音した音質に関しては、「Interlude」より、後処理がしにくい状態で、ミキシングは文字どうり、試行錯誤の連続でした。いろいろな方々の助言もあり、無事ミックスを終了できましたが、この時の経験は次の作品「Blue and Green」に100%生かされました。2作目にして、アルバム制作の難しさを嫌と言う程感じさせられた、私でした。

 いろいろ音質的には、私も、プロデューサー細川も十分に納得できない部分があり、心残りがある作品でしたが、意外にも、某ジャズ誌のジャズオーディオディスク大賞の特別賞というのを、知らないあいだに受賞しておりました (^_^;) 。
 ある日、書店で、その某ジャズ誌を立ち読みし、ページをパラパラとめくっていると、「Trio」のジャケット写真が、目に飛び込んで来た時には、かなりびっくりしました。
 何の連絡も無しに、そんなかたちで雑誌にのることがあるのか、とも思いましたが、そんなことがありました。

 そのせいか、Amazonで、中古の「Trio」が、7000円とか9999円とかで出ていることがあるんですが、決して廃盤になっているわけではありませんので、定価の2500円で普通のネットショップや、レコード屋さんで買えますので 、、(^_^;) 。

 次の機会にはピアノトリオ第2作「Blue and Green」をご紹介したいと思います。
CMSレコード HP http://cms-records.biz/
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posted by えんこみ at 02:04| Comment(0) | TrackBack(0) | アルバム紹介

2012年12月18日

インターリュード ♫

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今日は、CMS-1001、記念すべきCMSレコード第一作目の「Interlude」を紹介させて下さい。HPの方には、いまのところ試聴のページがないので、こちらの方に5分半程のダイジェスト版のmp.3ファイルをアップしましたので、これを聴きながらお読みいただけると幸いです。
 このアルバムは2004年の12月に録音しました。熊本の阿蘇近く、標高400メートルにあった当時のCMSスタジオで、夜の9時〜午前3時くらいまでかかって、のんびり収録したと思います。
 12月の山の上ですから、外は氷点下、地面は凍っていました。ストーブの薪をくべながら、一曲録ってはプレイバックを聞き、珈琲を入れて、また一曲。池田篤、細川正彦のデュオツアーのあと、アルバムをつくるというよりは、思い出作り、記念に録音しておこう、という感じの録音だったと記憶しています。
 アルバムが出来上がった後は池田篤氏のホームページのみでの扱いで、細々と販売していましたが、幸運にもディスクユニオンさんからの問い合わせがあり、取り扱ってもらえることとなり、より多くの方達に聴いて頂ける様になりました。
 当時、池田氏は1936年製造のビンテージ楽器「CONN 6M」を吹いており、今となってはそういう意味でも貴重な録音と言えるかもしれません。
 このアルバムは記念すべきCMSレコード第一作目であると同時に、シーンから遠ざかっていた、ピアニスト細川正彦が旧友池田篤の協力を得てこそ実現できた、復帰記念の作品であり、今につながる、音楽活動のきっかけとなった作品です。

CMSレコード HP http://cms-records.biz/

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 試聴ファイルは、Fingers in the Wind(R Kirk)、Wee Free (Ikeda)、Blue Zoo (Ikeda)、You Only Know What I Know (Ikeda)からのダイジェストです。
posted by えんこみ at 14:30| Comment(0) | TrackBack(0) | アルバム紹介