2013年03月18日
グールドの秘密、、? 3
一昨日のブログで、グールドのコンサートの、ゴルードベルグ変奏曲の録音について、彼の実像に迫る上で、重要な意味があると書きました。
その意味とは、つまり、彼が、コンサートでは絶対にできない表現方法=録音技術(編集など)を駆使して作品をつくっていたわけで、一曲丸々、途切れる事無く演奏して、それが記録として残っていて、それを聴く事ができること自体が、とても珍しい事だと言えるわけです。
当時はそのコンサートに来ている聴衆も含めて、やがて彼のコンサートでの生演奏が聴けなくなる、なんて言う事は想像もしていなかったでしょうが、クラシック演奏家としては、異例の暴挙(?)を実行してしまったわけです。
ただ実像に迫ると言っても、「録音が全てである」、として公開演奏を拒否してしまった音楽家ですから、ある意味そこに実像があるわけで、彼自身にとっては、それらの記録は実像ではなく、ただの実演以上ではなかったのかもしれません。
録音における編集作業を「邪道」とみる、実演至上主義の演奏家や、聴衆も確かに存在していて、編集無しの録音に、尊い魅力を感じる方も居る様です。ですが、私は録音技術者としての仕事柄として、だけでなく、実演の魅力以上に、音楽を録音し、それが最終的に商品になるまでに、色々な行程を経る事に関して、特に違和感を感じてはいません。
むしろ、いろいろな行程を経て、つくられる事により、地球上の、いろいろな場所やシチェーション、時間や季節、その他の条件に左右される事無く、素晴らしい曲や、演奏家のパフォーマンスをより良い状態で、楽しめるとしたら、歓迎されるべきことだと思っています。
いずれにしても、編集なしの、生の演奏そのままのパフォーマンスを、1959年のゴールドベルク変奏曲の録音からは聴く事ができるわけで、今となっては、とても貴重な記録であり、グレン・グールドの『実演』を知ることができる、数少ない音源と言えるでしょう。
バッハの曲で、半音階的幻想曲とフーガ ニ短調, BWV903という曲があるのですが、グールド氏は前半の幻想曲だけ録音して、フーガを録音する事無く、亡くなってしまいました。私の大好きな曲なので、フーガを録音してから、天国に行ってほしかったです。
半音階的幻想曲とフーガ ニ短調とCDの外側にかいてあったので、購入したら、中のブックレットに「フーガは収録されていません」なんて書いてありましたが、ソニーレコードさん、詐欺的商法ですヨ、、、(._.)...。
CMS Records web site http://cms-records.biz
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