今日はこれまでのこのブログの慣習でいうと、ここ数年は一年に何度かしか書いていない、「この一枚」。 お気に入りのCDアルバムを皆さんにご紹介するコーナーです。前回が11月でしたから、頻度としては近年稀に見るペースということになります。
このブログには色々なカテゴリーがあり、今日取り上げるアルバムの主、Gidon Kremer のカテゴリーもありますので、そちらで取り上げても良いのかもしれませんが、なんとなくこちらで取り上げることにしました。
なんとなく、、と書いてしまいましたが、実は幾つかこのアルバムを聴いて考えさせられることがあり、そのことについて書きたいと思ったということも、ここで取り上げる 理由の一つではあります。
Gidon Kremer と言えば、なぜか、実力と世界での名声に比べれば、残念なことに、日本ではいまひとつ人気と知名度が低いところがある演奏家です。その彼の70歳を記念して発表されたのがこのアルバムです。誰も取り上げない、、あるいは滅多に演奏されることがない曲を好んで演奏したり録音したりすることが多い Kremer 氏ですが、今回もやはり珍しい曲を録音しましたね、、。
ラフマニノフといえば、コンチェルトが一番有名で、室内楽系の曲は有名なヴォーカリーズでさえもそれほど、頻繁に演奏されているとは思えないのですが、この、トリオはやはりそれほど演奏される機会がない曲ではあります。
曲の知名度はその曲の内容に比例するとは必ずしも限りませんが、このアルバムのメインの曲、「悲しみの三重奏曲第二番」は、ラフマニノフが先輩のチャイコフスキーの死を悼んで作ったと言われている曲ですが、わずか3楽章しかないにもかかわらず、演奏時間が50分ぐらいある大曲で、第一楽章と第二楽章は共に20分を越す、、ということでこれって、なかなか演奏しにくい曲だと思います。
曲が長ければリハーサルも長くなりますし、聴衆の鑑賞する集中力も要求されますが、そうかといって、この曲の内容は素晴らしく、少しも冗長なところはありません。
最近このアルバムを初めて聞いて、関心しましたが、この文章を書くために改めて聞いてみて、最近軒並みに制作コストが落ちているクラシック業界のなかで、丁寧なやり方で、良質な録音をされていることを感じました。録音チームそして、プロデューサーは Kremer とはかなりの数仕事をしてきている Helmut Mühle が行っていることを知りました。
Mühle氏は、本来はレコーディングエンジニアとして有名ですが、当然のことながら音楽への造詣が深く、彼とそのチームの仕事は、現代最高のクオリティを持っていると言って良いと思います。
このアルバムで、他に特筆すべきことは、演奏に使っているピアノが、Steinway でもYAMAHAでも、KAWAI でもない、イタリア製のピアノ、Fazioli のF278型だということです。
Fazioliというメーカーはまだ創業40年余りの若いメーカーですが、最近各方面で注目されており、いろいろなレーコーディングにピアノを無料で貸し出すなど、積極的にプロモーションを行っている会社ですが、まさかこのアルバムでそれが使われていたとは、データを見るまで知りませんでした。
Fazioliというメーカーのピアノは独特の音色で、個人的には苦手なのですが、最初にこのアルバムを聴いた時には「多少音色が柔らかいな、、」とは思ったのですが、それほどは違和感はありませんでした。それどころか、音質の良い録音のせいもあり、ピアノの音色にも共感できるところが多々あったのですが、Fazioli を使っているということを知った途端に、若干の違和感が、、、。
人間というものは、これほどに既成概念に弱いものなのか、、´д` ; 。ということと、自分の既成概念への執着というか、主観的な判断、仕事柄、音に敏感なはずの自分の感覚が、意外にもそれほどあてにならない、、ということにショックを受けました。
音質や細かいことの話ばかりを書きましたが、Kremer と共演の若い二人(ピアニストが一番若い)の演奏は素晴らしく、この長大な曲を手中に収めた素晴らしいパフォーマンスを披露しています。曲の内容は同じピアノトリオの名曲として名高いチャイコフスキーのトリオ(Piano Trio a-moll op.50)に強い影響を受けつつも独自の世界を創り上げた優れた楽曲です。
Rachmaninov - Gidon Kremer • Giedrė Dirvanauskaitė • Daniil Trifonov – Preghiera - Rachmaninov: Piano Trios
レーベル:
Deutsche Grammophon – 00289 479 6979 GH
1 Preghiera (Adagio Sostenuto From Piano Concerto No. 2)
Arranged By – Fritz Kreisler
5:24
Trio élégiaque No. 2 In D Minor, Op. 9
2 1. Moderato – Allegro Vivace 20:36
3 2. Quasi Variazione 20:34
4 3. Allegro Risoluto – Moderato 8:13
5 Trio élégiaque No. 1 In G Minor 12:01
Engineer [Recording], Edited By, Mixed By, Mastered By – Aleksandra Kerienė, Vilius Keras
Executive Producer – Misha Aster, Ute Fesquet
Producer – Helmut Mühle
Recording: Echternach/Luxembourg, Trifolion, 1–3 May 2015
Edited, mixed and mastered at Baltic Mobile Recordings, Vilnius
Piano: Fazioli F278, No. 2782114
Piano Tuner: Arno Stocker
blanc de blanc Live バー ブラン ド ブラン ピアノメインテナンス記念 Duo Live (終了しました。)
9月23日月曜祝日 20:00 〜
出演 細川正彦 piano Emma Arcaya flute
〒900-0033 沖縄県那覇市久米2丁目19−1
電話: 098-943-9955
フルートパラダイス in Kumamoto レストラン & ライブバー キーブ (終了しました。)
10月29日火曜日 20:00 〜
出演 小島のり子 大元 薫 flute 細川正彦 piano 明日正就 bass 武本強志 drums
096-355-1001
〒860-0806 熊本県熊本市中央区花畑町11−14 電話: 096-355-1001
辻 元重 g 細川正彦 p Duo Live in Jazz inn Okura (終了しました。)
10月30日水曜日 20:00 〜
〒860-0848 熊本県熊本市中央区南坪井町1−12 096-325-9209
ピアノトリオ Live in 徳之島 A-HOUSE
11月21日木曜日 20:00 〜 (終了しました。)
出演 高尾英樹 Bass 川原大輔 Drums 細川正彦 Piano
〒891-7101 鹿児島県大島郡徳之島町亀津7315
電話: 0997-83-2981
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アーティストの活動を紹介する テレビ番組「美の鼓動」( 九州産業大学提供 テレビ西日本制作 ) にCMSレコード主宰 ピアニスト細川正彦が出演しました。放送は九州のみで、2016年3月20日(日曜)午前11時45〜で終了していますが、オンエア後は、このYouTube の→「美の鼓動」 か、放送局(フジテレビ系 TNC テレビ西日本)のホームページ(http://www.tnc.co.jp/kodou/ )で見る事ができます。
CMSレコード最新作、伊澤隆嗣 as,ss Quartet 「In a Spring Time」の試聴用 PVができました!。好評発売中!!二span> →べースデュオシリーズ好評発売中、
第一弾、納浩一「Little Song Book」
第二弾、中島教秀「Duologue」
シリーズ第三弾(完結編)
船戸博史、細川正彦デュオ「Harvest Moon」絶賛発売中〜 ( ^ ^ )/ 。→ 試聴用ムービーはコチラ@
お知らせ アマゾンの表示に間違いがあり、「Harvest Moon」が購入できないかの様になっていましたが、こちらのURLから購入して頂けます。キャットフィッシュレコードさんhttp://www.catfish-records.jp/product/17672をはじめ、その他のweb ショップでは、いままでどおり、ご購入いただけます。
CMSレコードのアルバムが全て、web site のネットショップへのリンクからご購入頂ける様になりました。お好みのアルバムを是非ポチッと、、。You Tube による試聴リンクも NEWS のページにあります。
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