2015年05月09日
またまたGould(昨日のブログ)
昨日は久しぶりに Glenn Gould の話を書きました。
死後30年以上を経て、いろいろなお蔵入り音源が様々な形でアルバム化され、ほとんどそれらは出尽くした、、という意味のことを昨日書きましたが、その後、改めていろいろとネット上を調べてみると、、、ありました、私の知らないGouldの音源が、、、。
それは2012年にリリースされていたもので、正確には全くの未発表という訳ではありませんが、とても興味深い音源であるので、ここで取り上げてみたいと、思います。
その音源は、スクリャービンとシベリウスの曲で、スクリャービンが、ピアノ・ソナタ第5番 op.53と2つの小品 op.57、シベリウスが ソナチネ第1番嬰へ短調 op.67-1、ソナチネ第2番ホ長調 op.67-2、ソナチネ第3番変ロ短調 op.67-3、キュリッキ(3つの抒情的小品) op.41。
これらは、既に一度リリースされており、私も持っていますが、これらのスクリャービンの音源はグールドのプロデュースのもと、特殊なマルチマイクで集音されていて、ステレオペア×4本の8本のマイク、8つのトラックに記録されていた物を、「編集段階でミキシングを細かくコントロールし、作品にふさわしい響きにする」というコンセプトで、ミキシングしなおしたものなんだそうです。
ちなみにシベリウスの方は、既に公開されている音源は、その方法で収録及びミキシングされたものが、アルバムになっていて、それを全く知らずに、私は聴いていた、、、ということになります。
Gould 氏はテクノロジーに並々ならぬ興味があり、編集など、いろいろな音源編集のテクニックを色々試していた、ということは知っていましたが、そのようなマルチマイクによる収録を、自らの意志で実現していた、、ということには、少し驚きました。 通常は、当然、録音の方法は、プロデューサーやエンジニア達の範疇のことであり、演奏者が自らそれを望んで、実験的な録音方法で、記録し、ミキシングにも立ち会って、音源を仕上げるというのは、とても異例なことです。
私の様な、エンジニアを生業とするものにとって、これはある意味画期的なことであり、シベリウスの音源はすでに、そういったスタイルで仕上げられていたものを知らずに聴いていたということで、それ程自然に仕上がっていた、ともいえるわけですが、全く気がつかなかったということは、少し悔しい気がしますが、改めて、その辺のことを意識して、聴いてみたいと思います、、、 ^_^; 。
今回(もう三年まえですが)の音源のうちスクリャービンの方は、Gouldのマルチマイクでの集音とミキシングのプロジェクトが頓挫し、二つのマイクのみに依る音源が作品化されていたものを、カナダのカールトン大学芸術文化学部の、ポール・テベルジュ博士によって、再構築されたものだそうで、最初の試みの為、集音が上手くゆかなかったのか、完全に蔵入りしていたものを復活させたモノだそうで、もともとのものと是非比較して聴いてみたい、、と思います。
そして、このアルバムの画期的なところは、ナンと!スクリャービンの、ピアノ・ソナタ第5番 op.53のマルチマイクに依る8 トラック分のデータが、別のディスクに入って製品に付属しているのだそうです。 これって、一般のリスナーにはあまり意味が無いというか、あってもしょうがないデータなのかもしれませんが、私の様な、録音、ミキシングのエンジニアにとっては、とても興味深いものである、、、といえるでしょう、、。
なにしろ、コレを元に、グールドの計画の元、収録された音源を使って、自分で作品を構築することができるのですから、、( ^ ^ )/。
このアルバムは、普通のCDより、割高ですが、十分にその価値がある作品だと思います。 って、みなさんあんまり興味ないですよね、、、(^^ゞ。
しかし、生前の Glenn Gould の音楽とそれをめぐるテクノロジーへの好奇心は、スゴいモノがあったんですね、、。 周りのレコード会社のスタッフたちは、本当に大変だったと思います、、(^。^;) 。
個人的には、ピアノという楽器を二本以上のマイクで録音する、、、ということは、位相の問題などもアリ、基本的には反対の立場をとっていますが、今回、このディスクをあらためてきいて、研究してみようかな、、、とも思いました。
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