今日は、実に、去年の12月1日以来の「この一枚」。
エンジニア小宮山英一郎が、自信を持ってお勧めする、アルバムについて書いてゆきます。
実はこのアルバムは昨日のブログを書きながら、かなり久しぶりに聞いていたのですが、「あれっこれって、まだ、この一枚でとりあげていなかったかな、、」と思って、過去のブログを見てみると、、、。
なんだ、未だなんだたら、明日は久しぶりの「この一枚」ということにしましょう、、ということで、そうなりました。
このアルバムにはちょっとした思い出があります。
1990年代のはじめ頃、わたしが東京から、九州に引っ越してきたばかりのころに、まだ福岡に存在していたライヴハウス、Blue Note(後に閉店) の前を友人と通ってみると、今日の出演、「エグベルト・ジスモンチ グループ」という看板が見えました。
Gismonti か〜、、なかなか聞けないよね、特に九州では、、ということで、どんな用事で街に出たかは全く覚えていませんが(もう20年以上前ですから)、急遽ライヴを聴こうということになりました。
ブラジル出身のギターとピアノを自在に繰る音楽家、Egbert Gismontiは演奏する曲はほぼ自作曲。いろいろなミュージシャンとのコラボレーションもありますが、ソロや、自身のグループでの演奏がやはり実力を発揮するように思います。 この日は自分のグループでしたが、とても変った編成。
Gismontiのギターとピアノ、もう一人ギターとキーボード、そしてチェロとコントラバスという変則カルテットでした。 お客さんが少ない中、とても力演していましたが、そんな中、演奏中にもかかわらず、ステージの真ん前で大声で話をする客がいて、しかも Gismontiのソロピアノの曲だったため、本人も怒って睨みつけていましたが、それでも会話はおわらず、、。何だかナ〜というシチェーションの中、凄まじく素晴らしいパフォーマンスは続きました。
初めて聴く曲でしたが、ハッキリしていたのは、構成がしっかりしていて、インプロヴィゼーションはほぼ無し、、。 なのに、ステージ上を見ると、譜面台や、楽譜の類はどこにもみあたりません。
「全部暗譜している、、?」、、これってスゴいな〜、、どんだけリハーサルしてきたんだろう、、。でもその挙げ句、ブラジルから、日本の九州まで来て、演奏中にガヤガヤされては、たまったものではありません。
その後の情報によると、次の日にはさすがに怒って、演奏を中断し、楽屋に引き上げたそうで、きっともう二度と福岡には来たく無いと思っているでしょうし、実際この20数年来ていません、、 (´o`; 。
そんなライヴでしたが、あまりにも素晴らしい曲、そして演奏でしたので、直ぐにCDをさがしました。それが今回取り上げた「Infancia」 。 Blue Note ではがやがやしていましたが、CDではECM の素晴らしい録音でいい音で楽しめました。改めて聴いてみるとほぼ曲の全てが作曲されたもの、、。
やはりスコアはすべて、繰り返しリハーサルされ、演奏者によって暗記されていたのです。言ってみれば、クラシックの曲の様なものなのですが、通常室内楽では、暗譜はしないですよね、、。 Gismontiの音楽に対する姿勢がわかる話ですが、これはかなりの時間と労力を要する話です。
音楽の内容は、美しい旋律とモダンな和音、室内楽的なサウンドのなかに、ブラジルのサンバ・カンソンのリズムも感じさせつつ、明るい響きや、スリリングな展開がてんこ盛りの、本当に魅力的な音楽です。生楽器とさりげなく使われている電子キーボードの使い方も素晴らしいですが、即興演奏というものの意味も考えさせられる、私にとっては、かなりの問題作であると同時に Gismonti にハマるきっかけとなった作品でしたね、、。
Bass の Zeca Assumpçãoは偶然にもその3年程前にドイツで生演奏をきいていましたが、Cello の Jacques Morelenbaum はそのとき初めて生で聞きましたが、音色の美しさと音程の正確さはクラシックの一流の演奏家を聞いている様でした。
Jacquesは後に、坂本龍一との活動で、日本では知られるようになるひとですが、ギターのカエターノ・ベローゾのグループのバンマスも務めている人です。
でもコアなGismonti のファンの方には、ECMレーベルでの Gismonti は妙にクラシックっぽくて好きじゃない、、、という方もいらっしゃるかもしれません。
私はどっちも好きですよ、ゴリゴリのブラジルっぽい Gismonti とECMの Gismonti も、、、。
1 Ensaio De Escola De Samba (Dança Dos Escravos) 8:47
2 7 Anéis 9:07
3 Meninas 7:14
4 Infância 10:46
5 A Fala Da Paixão 6:09
6 Recife & O Amor Que Move O Sol E Outras Estrelas 10:58
7 Dança No.1 5:18
8 Dança No.2 4:07
Piano, Guitar [José Ramirez, 10 Strings], Guitar [Jorge Passos, 14 Strings] – Egberto Gismonti
Synthesizer [Synthesizers], Guitar – Nando Carneiro
Bass – Zeca Assumpção
Cello – Jacques Morelenbaum*
Composed By – Egberto Gismonti
Design [Cover Design] – Barbara Wojirsch, Egberto Gismonti, J.C. Mello, Sascha Kleis
Engineer – Jan Erik Kongshaug
Photography By [Liner Photo] – Livio Campos
Producer – Manfred Eicher
Recorded November 1990
Rainbow Studio, Oslo
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